オンライン特別講演会” ウィズ・コロナの日常とストレスケア”(報告)

2022年5月15日、医療法人社団研精会 稲城台病院に勤務されています精神科医の厚東智成先生をお招きして、オンライン特別講演会”ウィズ・コロナの日常とストレスケア~認知症にかかわる全ての人のために~”を開催しました。コロナ下で長引くストレス環境において、制限の多い日常を少しでも楽に過ごすために、また、経験のない強いストレスに対応するにはどうすればよいか、誰もができる具体的な対応も含めてお話しいただきました。コロナ下により、患者様や利用者様に関わる際も、距離の確保やマスク装着が求められ、今まで通りには出来ないことも多く、ジレンマを抱えがちな日々ですが、今回、私達が日頃から行えることを教えていただきました。

コロナ下での「不安」は心理面の不安が大きく、誰かを感染させるんじゃないか・将来どうなるんだろう・大切な人が感染したら…など様々な思いが生じると思います。不安の多くは正常な反応ですが、中には、こじれてしまうと医療が必要な重篤な状態に陥ってしまう場合もあるため、楽観視は出来ず、何とかうまく付き合っていかなければなりません。そのためには、まず、睡眠や食事など、自分自身の最近の体調について評価し、その上で、例えば、寝る前にスマホを見るのはやめるといった、自分で工夫できそうな工夫を行うことや、ストレス対処のために自分が出来る行動を多種類持つこと、できれば毎回同じ行動ではなく、色々試せるよう、引き出しを増やすことが大切であるとのことでした。例えば、気持ちを活性化する行動の例として、散歩する、掃除する、友達や家族に連絡する、同僚と話す、音楽を聴く、など。また、気持ちを穏やかにする行動の例としては、星を見る、自然の音に耳を傾ける、好きな香を嗅ぐ、ゆっくり呼吸をする、手をマッサージする、などもあるかもしれません。

いつでもどこでも出来る、リラクゼーション法のひとつとして、リラックス呼吸法も教えていただきました。

【呼吸法のメソッド】*楽に椅子に座り、力を抜いて、両足が床につくようにします。①軽く息を吸う ②6秒間かけてゆっくり息を吐く、身体の力を抜く ③3秒間息を止める ~これを10分間、繰り返します。

コロナ下で、認知症のある方との関わりや支援において気を付けたいこととしては、

*適度な運動を習慣化:週に150分間の中等度の有酸素運動、散歩や、家の中や庭で出来る運動

*健康的な食事:量とバランスに留意して

*口腔ケア:会話・歌・早口言葉など、口周りの筋肉を動かす

*社会的つながりの維持:マスクを着用した少人数の会話、遠隔コミュニケーション、「飯が旨い」「天気が良い」繊細なポジティブ感情を大切にする

*言葉かけ:シンプルな表現で、現状および安心出来るメッセージを伝える、など教えていただきました。

今回、コロナ下で認知症のある方への支援における留意点だけでなく、医療者・支援者としてのストレスとの向き合い方についても教えていただきました。自分自身も、医療にかかわる一人として、呼吸法やリラクゼーション方法など、明日から実践出来ることをしたいと思いました。コロナ下で長引くストレス環境において、皆様も、たとえ短時間でも、一日の中でくつろぎ、リラックスできる時間を過ごすことができるように、ぜひ参考にしていただけたらと思います。質疑応答では、コロナ下の面会制限が続く中、職員と一緒にご自宅へドライブに行き、車からご家族との面会を行っているという施設の話を伺いました。いかなる状況においても、新たな対応や創意工夫の可能性があることを、改めて学ばせていただきました。

講師の厚東先生、参加された皆様、ありがとうございました。              KIMONO

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