7月1日第8回公開講座「若年性認知症の当事者に学ぶ」(報告)
去る7月1日、府中市市民活動センターにおいて、東京都多摩若年性認知症総合支援センター長の来島みのりさんと、若年認知症当事者の山田さん(仮称)をお招きし、3年ぶりに会場での公開講座が開催されました。
来島さんからは「若年性認知症を理解する」というテーマで、①高齢者の認知症との違いを理解する②当事者と家族の気持ちを考える③若年性認知症支援コーディネーターの役割を知る④これからの高齢者像を考えるについてお話いただきました。
①については、高齢者の認知症と病理的な違いはないが、経済的・家庭的問題など高齢者の認知症とは問題の内容が異なるとの説明がありました。②については、当事者の病気を認めたくない気持ちや仕事など将来の見通しが立てられない不安。また、先の見えない長い階段で時には立ち止まったり、戻ったりする介護者の心理状態。私たちには本人・家族の気持ちは分からないからこそ、その言葉に耳を傾けることが大切であることを教えていただきました。③については、具体的な制度や手当等について説明があり、多職種連携はもとより、会社や友人など本人と関わる全ての人達との連携が必須であると話されていました。④については若年性認知症の場合、診断が出てから介護サービスへ繋がるまでの空白の期間があり、その間如何に当事者の声に耳を傾けサポートできるかが問われており、若年性認知症の人を支援できないとこれからの高齢者も支援できないと社会資源発掘の重要性を訴えておられました。
また、当事者の山田さんへは前もって質問事項を提示し、診断直後の気持ち、日頃の生活の中での思いや現在の活動を率直にお話いただきました。その中で印象的だった事柄を何点か挙げさせて頂きます。
・一人で交通機関を使って移動しているが、初めての会場の時は、事前に行ってみる(今回も1週間前に来られたそうです)
・わからなければ、知らない人でも、何でも聞くことが出来るようになった。
・買い物は店ごとにメモをする、品物の配置は店員に聞く、火を使う料理の時はその場を離れないなど、自ら工夫している。
・認知症と診断されたら、さっさと受け入れよう!と話している。脳も一種の機械と思えば、故障しても無理はない。受け入れた方が楽になると自分は思う。そうでないと却って辛いのではないか。
・通常のデイサービスも見学したが、違和感があった。自分は普通の人に見えるつもりなので、散歩と称して、町の中を集団で歩かされるのは屈辱に感じた。若年性認知症の人には、高齢の認知症の方と一緒にされたくない気持ちがあると思う。
来島さんの熱い支援のお話や、山田さんの率直な思いや様々な試行錯誤のお話に頭が下がり、学ぶことばかりでした。特に、高齢者の認知症と同じに扱うのではなく、気持ちやニーズをそれぞれ聞き、理解して、サポートすることが重要であることを痛感しました。山田さんは、若年性認知症のピアサポートの集まりでも、皆さんに頼りにされておられるそうです。今後もご活躍を期待しています。来島さん、山田さん、貴重なお話をありがとうございました。