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第47回日本作業療法学会シンポジウム「認知症の人を支える作業療法」


image第47回日本作業療法学会が6月28日-6月30日に大阪で開催されました.この学会は作業療法士協会が年1回開催する学術集会で,大会のテーマは,「地域に暮らす ~生活を支える作業療法~」です.講演,シンポジウム,一般演題(口述・ポスター発表)と盛り沢山の内容で全ては回りきれません.高齢者・認知症の方に関するものを中心に回りました.

大会2日目のシンポジウム「認知症の人を支える作業療法」のシンポジストの一人として,当会の村田康子が登壇しました.作業療法学会で認知症関連のシンポジウムが一番大きいメインホールで開催されることはこれまでなかったと思います.認知症の分野がクローズアップされてとても嬉しい出来事でした.シンポジウムの司会者,松下太さん(四條畷学園大学)は,パーソン・センタード・ケアとDCMの講習会を受講されており,パーソン・センタード・ケアに取り組まれておられるので,セラピーではないパーソン・センタード・ケアを取り上げて下さったのだと思います.
シンポジストの1人目は小川敬之さん(九州保健福祉大学)でした.アルツハイマー型認知症の方の着衣失行と介助の様子をビデオを用いて解説され,うまくいかなくなった時には「仕切り直し」を行い,認知症の人とセラピストでストーリーの共有を行うこと(認知症の方は行為に行き詰っている間に何をしているのか忘れるため)が,その方の自尊心を高めることにつながると強調されました.その上で作業療法士の強みとして,その人の障害状況の把握(Impairment), 当事者中心の姿勢(Narrative), 認知症の方を支える環境の整備(Environment)があるとまとめられました.
シンポジスト2人目,上田章弘さん(介護老人保健施設 恵泉) ,「パッションを伝えたい!!」とご自身の「集団」活動(笑いの絶えない集団活動)の実践を楽しくお話しされました.その中で「うまみを引き出す」ことが大切で,そのうまみとは,「促す」・「巻き込む」・「見せる」の頭文字とのことです.上田さんは,お年寄りの方を上手に活動に促し,地域の方に恵ちゃん(ダルマとタコ=オクトパスを合体させた縁起物の張りぼて人形)を進呈したり,生き活き一座として紙芝居を保育園で行ったりして,地域を巻き込まれていました.そのことでお年寄り自身も元気になり,笑〃顔(ええ顔)を見せてくれるそうです.この「ええ顔」は関西弁でいうところのええ顔で,単に笑顔を指すだけではないそうです.その辺はご当人の関西弁ですごく伝わってきたと思います.
シンポジストの3人目に村田さんが登壇しました.村田さんは,パーソン・センタード・ケアの考え方を作業療法士も是非,実践してほしいと熱弁を振るわれました.まず最初に認知症の方の心理的ニーズの一つに「たずさわること=Occupation」があり,作業療法士(Occupational Therapist)は,認知症の方の心理的ニーズに深く働きかけられる職種であることを説明しました.それから,認知症のパーソン・センタード・モデルを使い,認知症の方の状態に影響を与える社会心理について述べました.シンポジストのお一人小川さんにお願いして,ロールプレイまで披露!! 悪性の社会心理について,作業療法士も他人事でなくチームの一員として取り組んで欲しいと強調されました.
とても盛り沢山の内容で,講演だけで時間が超過してしまうくらいでした.会場には多くの方がいらしていて,作業療法士の方にパーソン・センタード・ケアを知って頂くいい機会になったと思います.感想などお寄せいただけると嬉しいです.

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会場となったメインホール
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村田さんの講演の様子

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小川先生とのロールプレイ

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3名のシンポジスト

カテゴリ:活動日記の投稿 | コメント(3)

3 Responses to “第47回日本作業療法学会シンポジウム「認知症の人を支える作業療法」”

  1. 松下太 より:

    司会を務めました松下です。記事にもありますが、ほんとに作業療法の学会で一番大きいメインホールで認知症をテーマにした講演やシンポジウムが開催されるのは初めてであり、それだけ認知症の人に対する作業療法が内外から注目されているのだと思います。
    3名のシンポジストの方々に素晴らしい講演をいただき、エビデンスのみならず、「人として視点」が会場のOTの皆さまに伝わったのではないかと思っています。
    村田先生、本当に有難うございました。また今後とも宜しくお願い致します。

    • admin より:

      松下さま
      書き込み,有難うございます.やはり,そうでしたか!!大会場でのシンポジウム,企画から司会まで大変だったことと存じます.認知症の方を支える作業療法実践のヒントが散りばめられていて,今回の学会のテーマ「生活を支える作業療法」にピッタリのシンポジウムでした.”Enable us!!”(認知症当事者のクリスティーンさんの言葉)と松下さんが結ばれましたが,まさしく作業療法士の強みはそこにあると感じました.本当にお疲れ様でした.今後ともどうぞよろしくお願いします. (内田)

    • murata より:

      松下先生
      いろいろとお世話になりました。先生の様々なご配慮のおかげで、シンポジストの先生方と気持ちを一つにして臨むことが出来たように思います。また、各地で認知症の人の作業療法に思いをもって関わっておられる作業療法士の方々と新たに出会い、つながる機会にもなったこと、本当にうれしく思っております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。(村田)

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