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日本認知症ケア学会に参加して来ました


IMG_00676月1日-2日福岡市で開催された第14回日本認知症ケア学会大会に参加しました.当日は,なかなかお会いできない遠方の方にお会いできて良かったです.

今回はNPOから2題研究報告をさせて頂きました.
1)村田康子 他 : パーソン・センタード・ケアの教育ツール「スタンド・バイ・ミー」を試行して
この研究は,昨年5月にDawn教授来日の折,紹介されたDVDの教材「Stand by Me」(私のそばに寄り添って)が発端でした(DVDはウースター大学のHPより有償で入手できます).発表者の村田さんは,DVD映像と教材資料の素晴らしさに感動して,DVDの日本語スクリプトを短期間でおこして,それを通訳の中川さん(Dawnさんの講演会でもお世話になりました)に相談してチェックして頂きました.その後,Dawn教授の了承を得て(注:DVDと教材の開発はウースター大学と英国NHSの共同事業となっています),研究事業で使用させて頂いています.

抄録:
背景・目的)認知症ケアの質の向上を図るためには,スタッフ教育は重要な課題である.2011年英国ウースター大学認知症学部と地域の専門職とが協力して,認知症の人と介護者との関わりをロールプレイ化し,その映像を見て討議する教育ツール「スタンド・バイ・ミー(Stand by me)」を開発した.今回は,その有効性と課題について検討することを目的とする.
方法)2012年,A地区のB法人グループホーム職員,およびC地区のD特別養護老人ホーム職員を対象に,「スタンド・バイ・ミー」(字幕付き)を見て,同資料集のVIPSの枠組みによる質問に沿って,フォーカスグループを実施した.研究にあたっては,各施設長の了解を得,また参加者の了解を得て,討議内容を録音し,事前事後にアンケートを実施した.
結果)参加者は計24名,職種はヘルパー,介護福祉士,ケアマネジャー等であった.討議では,映像の具体的場面に関連したケアの気づきや工夫が,各参加者から豊富に語られた.認知症ケアの意識に関するアンケートでは,「パーソン・センタード・ケアについての理解」,「認知症の人とのコミュニケーションにおける自信」の2項目に関して,実施前後で有意差が認められた(p<0.05)ほか,「日頃のケアをふり返ることが出来た」と答えた人が92%を占めた.また,「映像で見ることでわかりやすく,客観的に見れる」との意見が多かった一方,「文化や施設により多少状況が異なる」との声も聞かれた.
考察)以上のことから「スタンド・バイ・ミー」が,ケアをふり返り,パーソン・センタードなケアのあり方やコミュニケーションについて理解を深める上で有効であることが示唆されたと考える.今後,わが国の文化的背景や施設の状況をふまえた,同様の日本版ツールの開発に取り組みたいと考える.
参考:Worcester Health and Care NHS Trust:Stand by me(2011)

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2)小川真寛 他 : The Pool Activity Level(プール活動レベル;PAL)のアンケートによる使用経験の調査
本研究は,昨年来施行しているプール活動レベル(認知症の方の活動レベルを評定するチェックシート)の使用感の調査です.プール活動レベルも英国NHSの関連機関であるNICE ; National Institute for Health and Clinical Excellence(英国国立医療技術評価機構)の認知症のガイドラインに取り上げられている評価法です.開発者のPoolさんより日本語版作成の承諾を得て現在,日本語版トライアルを実施中です.

抄録:

認知症をもつ方に対し意味ある活動をどう提供するかは重要だが難しい課題である。この原因の1つは認知症をもつ方の活動能力のレベルの評価に簡便なものがないことがある。そのため経験則に頼った介入になり,経験の少ない者は混乱することが多い。プール活動レベル(PAL)は日常生活の活動の観察評価から認知症をもつ方の活動能力のレベルを分類できる。PALはこの結果と対象者の生活歴等とを併せ、活動を選択しどう提供するかを計画するツールである。しかし、このPALに関して本邦における有用性や問題点について報告はない。そのため、今回PALの臨床での有用性や問題点をアンケート調査から検討した。

対象は研修会等でPALを紹介されたことのある作業療法士(OT)とした。方法はアンケートをEメールで添付し配布し、アンケートの目的と利用方法を説明の上、回答を呼びかけた。アンケートの質問内容はPALの使用経験や内容の分かりやすさ、使用の簡単さ等であった。

調査の結果、12名から回答があり、うち10名にPALの使用経験があった。経験者の中で90%がPALは分かりやすく、簡単であるとした。また100%が活動の導入へ参考になり、活動能力のチームでの共有に役に立つと回答した。これらの回答理由は、生活を知っていれば評価が可、個別プランの作成に有効である、集団活動時の役割設定や構成に有用というコメントがあった。また、活動内容の詳細を設定するには他の評価やスキルが必要、他職種と活動能力の共有が上手く行えないことが問題点として挙がった。使用経験がない理由は、使用に値する知識がない等が挙げられた。

アンケート調査から、PALの臨床での意味ある活動の導入に関して有用性は高いことが示唆された。一方で、PALのみの評価では十分でないことや、その情報共有のあり方、使用に当たり知識提供の必要であることが課題であると考えた。

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お越し頂いた皆様有難うございました.今後とも研究事業も積極的に取り組んでいきたいと考えています.ご協力,ご支援のほどよろしくお願いします.

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